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「広島のお好み焼きとは?」
戦前の駄菓子屋で親しまれていた「一銭洋食」。
小麦粉を水で溶いて薄く焼き、ねぎや削り節などをのせて食べるシンプルなもので、
これが広島のお好み焼きの前身と考えられています。
1945年(昭和20年)8月6日、広島に原爆が投下され、街は一瞬にして焼け野原になりました。
間もなく戦争は終わりを迎えたものの、人々は大きな失望を抱え、
食糧難による飢えで苦しむ日が続きます。
そんな中、焼け野原にあった鉄板とアメリカからの支援物資で手に入った小麦粉(メリケン粉)で
再び一銭洋食が作られたのです。
やがて戦後の復興の歩みとともに、具材にキャベツや卵、豚肉、そばなどが加わっていき、
現在の「お好み焼き」に進化しました。
まさに、お好み焼きは広島の人たちにとって戦後の復興の象徴であり、
ソウルフードといえるでしょう。
現在では、卵やそばが入ったものがベーシックなお好み焼きですが、
キャベツやもやしなどの野菜が主役のときは、卵やそばはなかなか手に入らない高級食材でした。
1955~1973年(昭和30~48年)にかけての高度経済成長期に、
人々の暮らしが豊かになるにつれて卵や豚バラ肉、そばが入るようになります。
また、肉や卵がもとから入っていなかったため、
広島ではお好み焼きを注文するとき
「肉玉そば」や「そば肉玉」といったような注文をするようになったのです。
そして1975年(昭和50年)、広島東洋カープが初優勝したとき、
歓喜に沸くファンの様子とともに、広島の様子が様々なメディアで放映されました。
その中に、お好み焼き店からのテレビ中継があり、
お好み焼きは全国の人々に注目される食べ物になっていきました。
お好み焼きの材料に制約はありません。
小麦粉とキャベツをベースに、冷蔵庫の余り物や旬の食材を材料にできます。
2013年(平成25年)、和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、世界にその食文化が認められました。
ただし、海外の方が実際に和食を食べようと思うと日本食レストランに行ったり、
自宅で作るとしても専用のお店で食材を揃えなければいけません。
そんな中、各国それぞれの土地で手に入る材料で、
家庭で気軽に作れる「和食」がお好み焼きなのです。
現在、世界人口は増加の一途をたどり、2045年には90億人を超えるといわれています。
それに伴い、食糧危機も指摘されています。
お好み焼きはその食糧危機への一助にもなりえる可能性を秘めています。
それは、その土地でとれる食材を自由に組み合わせることができ、
さらに栄養バランスも優れているからです。
出典(参照元)
「ついに初公開!広島お好み焼完全マスター本
~お好み焼を知る7つの章~」
一般財団法人お好み焼きアカデミー (2014.12.10)